風車O&M事業をスタートするにあたって、人材を育成するには何が求められるのか。
福島県で2月に開催された「風力メンテナンス基礎講座」では、風車O&Mの人材育成に必要な考え方や基礎知識について、風車O&M事業を新たな地域産業とすることを目指す当会の事務局長が公演しました。
その公演内容がWIND JOURNALに取り上げられました。
シリーズ「再エネの未来」市場規模5兆円! 風車O&Mの人材育成に必要な基礎知識とは? 【福島県の風力メンテナンス基礎講座・後編】
以下、記事内容の抜粋
◆O&M関連コストとこれからの市場規模
風力発電の風車のライフサイクルコストのうち、1基あたりのO&M(運用・保守)コストは全体の3分の1にあたり日本の風力発電産業では、2030年までに約5,000〜6,000名のO&M人材が必要とされ、人材不足が課題となっている。しかし急増するO&M人材のニーズによって、トレーニングを受けていない作業員が増え、労働災害のリスクが高まることが懸念されている。そこで、風車メーカーが共同で設立した非営利組織であるGWOが、風車O&Mの安全トレーニング基準を定め、風車メーカーがこれを義務化もしくは推奨している。そのため、風車O&Mの市場は今後急成長すると予想されており、2030年には5兆円を超えると考えられている。風力発電プロジェクトにおいては、長期にわたって風車の稼働率を保証する「長期稼働率保証(LTSA、Long Term Service Agreement)」が主流になっており、プロジェクトファイナンスにおいても保守能力が重要なポイントとなっている。また、風車O&M事業者にとっては風車メーカーとの協力が必要であり、LTSAを通じて風車メーカーも長期にわたって風車O&Mに取り組む可能性が高まっている。
◆FOMアカデミーでBSTを提供。風車O&M技術者の“専門学校”に
FOMアカデミーは、風力発電の専門トレーニング施設であり、GWOの認証を受けたトレーニング機関の1つである。2022年8月から、一般の受講者向けに基礎安全トレーニング(BST)を提供している。BSTの内容は、ファーストエイド、マニュアルハンドリング、ファイヤー・アウェアネス、ワーキング・アット・ハイトの4つである。FOMアカデミーは、台湾のGWO認証トレーニングセンターとパートナー提携し、トレーニングインストラクターの養成に取り組んでいる。さらに、油圧工具メーカーのITHともパートナー提携し、O&Mの省力化など向けた取り組みを行っている。